【20万人記念】凸待ち #パシフィックリリム 【にじさんじ】
21年3月6日、りりむちゃん、葛葉くん、コウによる「パシフィックリリム」が行われました。元は葛葉くんの凸待ちのときに上がった企画がついに20万人記念ということで実施されました。りりむちゃんが凸待ちをして、葛葉くんとコウがそれに対して指示を出して会話をするというもの。書いておいてなんですが、まずは動画を見てほしいです。私はマジで笑い転げていました。説明するのはやぼなところもあるのですが、この配信自体を説明するというよりも、これに通じて似たような配信を広めたいのとか、自分の中でその面白さを整理するために書いています。
りりむちゃんの天才的な変換
この配信は、この3人、そしてにじさんじだからこそ成立した配信だと言ってもたぶん過言ではありません。面白い要素として、コウと葛葉くんの悪ノリ、凸待ちに来たライバーさんのしっかりとした切り返しはもちろんでしたが、一番はなんと言ってもりりむちゃんの天才なところでした。特に個人的に好きだったのは、指示を絶妙に聞き間違えたり省略したりして、あらぬ方向の言葉を発してしまうところでした。「人の涙を知っているからこそ人一倍笑うところ」→「涙を人一倍笑えるところ」、「外部のファンが虚淵から入ってきた」→「外部のファンが裏口から入ってきた」、「レッドオーシャン」→「劣等種の集まり」、など本当にりりむちゃんにしかできないであろう言葉に私の腹筋は崩壊しました。5分という短い時間で指示を受けた言葉を発しなきゃ!というところからくる妙だったんだと思います。その他にも、指示ではない独り言をそのまま出力したり、会話の流れに関係なく指示をそのまま受け入れたりして情緒がめちゃくちゃ不安定になるところ、コウ自身が狙っていましたが、偏見に満ち溢れた言葉もそのまま出力するところなど見どころがめちゃくちゃありました。神田くんやエリコニさんなんかはそれを受けても会話をつまらせずつなげてきたのがあまりにも強かった。社長とか配信見てて面白そうだから来たんじゃないかなと思っていますが果たして。たぶん社長、こういうノリ大好きでしょう。繰り返しになりますが本当に本編を見てほしいです。夜間に見る場合や家族が近くにいる場合は不審な目で見られる場合がありますので、ご注意ください。防音が比較的しっかりした部屋に住んでいて私は助かった。
予想できない物語の面白さ
これはにじさんじというか、生配信文化、特にキャラクタ性を付与されたVTuberでかなり強い部分であると思っているのですが、誰も予測できない物語が展開されるのってめちゃくちゃ面白いんですよね。これをアズキアライアカデミアのLDさんは「不作為の物語」として述べていて、例えば漫画などの「作為の物語」と対比させていますが、ここはコンテンツとしてかなり差別化図れる強いポイントだと思っています。
どちらが面白い面白くないということではなくて、質が違う、という話なんですが、通常漫画などは作者の方が狙った物語が展開されます。もちろん筆が乗ったりいろいろな要素が重なって思いもよらぬ方向に行ったりすることももちろんありますが、それでも狙って作られることが基本だと思います。そうするとある種の「型」というものができあがり、どういう物語になるのか、と予想することもできます。そこである種の読者はこういう展開がいいだとか、ある種の期待を求めてしまいます。その結果、その期待値以上であるとめちゃくちゃ面白く感じますし、そこの期待から外れてしまうと、あれ?っと感じてしまうことがあります。最近だと新劇のエヴァが公開間近ですが、これがどう転ぶか、みなさんの期待を上回るものになるのか、はたまた期待とは違う結末になってしまうのか、というのはある種の「作為の物語」の宿命でもあると思っています。そのようなプレッシャーがある中で、そういうものを作っているクリエーターさんは尊敬しかないです。
それに対して、今回みたいな配信は、基本的に何が出てくるかがわからないため、その場の事象そのもの、実在性自体が面白さになっています。予想できないので、前述のような具体的な期待はなくて、何となく面白くなるだろう、という漠然とした思いがあり、正直どう転んでもたぶん面白くなるんです。箸が転ぶだけで面白い状況というか。特ににじさんじライバーさんはそういう咄嗟のことに対してアドリブで面白くするのがうまいので、所謂「事故」に近いような状況でもエンタメとして成立してしまう面白さがあります。そして今回みたいに、こんなことになるなんて誰一人予想ができなかったであろう面白さがうまれ、死ぬほど笑えてくる物語が生まれます。このへんのライブ感、実在性をぶつけてくるのは生配信コンテンツならではだと思っているので、ぜひともこういう勢いのあるコンテンツはこれからも見たいところです。ちなみに事故、何をするかわからないの極地は野良猫だと思いますが、個人的な好みとしてあそこまでいくと怖くて見れない、というがあります。共感性羞恥が強く出すぎると言うか。今回のとかは、にじさんじ内だけで完結するのであれば、どんな事故が起こっても内輪なので、安心できるというものがあるとは思っています。ただ世のクリエーターさんたちは野良猫が大好きな印象があるので、ある種のそういう狂気を求めているんだろうなと。
似たようなのでは最近だと、桃鉄の逆凸から生まれた茶番劇が最高に面白かったので、今回のこれが面白かったという人はぜひとも見てみてください。ちょっと質は違いますが、偶然から生まれた茶番ということでは同じような部類です。マジで咄嗟に流れを作った緑仙と黛くん、そしてそれに乗っかったういはちゃんとひすぴさんとグウェルさん、一人その状況に振り回されていたかざちゃんの構成は最高でした。
tatami571.hatenablog.com
上記の桃鉄記事にまとめてありますが、私のその原初体験はSEEDsのマイクラオーディオコメンタリーなので、そちらもぜひとも見てほしいです。事故なんですがめちゃくちゃ面白いのよ。OTNの社さんが寝落ちした2回も似たような雰囲気でしょうか。1年前のやつだとメイド喫茶コラボもマジで大筋以外は全く決まっていない感じのその場のノリで構成されたもので、腹を抱えて笑った記憶があります。あとちまちゃんとかは個人で突拍子もないこと、本人もよくなかっていないながら歌を軸にした予想外のことやってくれるので好きです。
第2回メイド喫茶体験会~地獄再び~
にじさんじそのものが不作為の物語を楽しむもの
にじさんじそのものが偶然の産物、ライブ感そのものを楽しむコンテツの側面があると思っています。kzさんのVtLでの「どうしようもなく今を生きている」が象徴的ですが、そもそもとして最初はアプリのテスターで開始したのがこういったタレント事業に転換しています。特に1年目なんかは全く狙っていないようなところからの積み重ねで起こってきており、「KANA-DERO」が1年目の集大成のひとつだったと思いますが、そこにいたるまでにも、半年続くと思っていなかった1期生たちと引退の危機があった樋口さん。一方でチャレンジの団体として、何かやってやろう、爪痕を残してやろうとしていたSEEDsの面々など、手探りでの物語がありました。今でも、この間のフェスのまとめでも書きましたが、にじさんじ自体は本人のやりたいことを叶える、夢を叶える場所で、具体的な共通の目標というものがないと思っています。その中でアルスさんは当初全く考えていなかった苦手な歌を舞台で歌うようになり、今回イブくんは1年前はどこか他人事で見ていたSitRから、今回舞台に立ち、さらに仲間の姿をみてもっと舞台に立ちたいと熱い思いを抱くように成るなど、本人自身の目指す姿が変わるところを楽しむコンテンツでもあると思います。他にも1年前にあったにじさんじARK ISLAND編は短期間での「予想の出来ない物語」が圧縮されたものでした。このようにマクロ的に見ても、予想できない物語、何が起こるかをわくわく楽しみに待ちながら見るものがあります。
予想できない物語の難しさと作為の物語との両立
ひとつコンテンツ配給側からすると難しいのは、なかなか狙って同じようなことができないということでしょうか。台本があるわけではありませんし、1回目にやってしまっているので、2回目にそれをさらに上回るものを提供する、ということが難しいと思います。緑仙が第一回、とつけながら第二回目がなかなかないのは、そういう理由も大きいということを言っていたような気がします。合唱コンクールとか、最高に好きなんですが、このネタを2回擦るのはなかなか難しいかなと。
第一回にじさんじ合唱コンクール
またリオン様の銀行開くまで耐久で、リオン様と黛くんが朝方にめちゃくちゃ真面目な話をしていたんですが、なかなか規模が大きなってきたりして、以前のような脳死の配信をしづらくなってきてしまった、と言っていました。しっかりとしたものを提供しなければいけないなどの気持ちがライバーさんにも出てきたとのことです。私みたいに脳死配信が大好きな人もいれば、一方でグダグダしていたり、しっかりしたコンテンツが好きな人もいるでしょうし、なかなか難しい問題だなと思っています。個人的にはこのリオン様の配信、長時間ということもありますが、再生回数も伸びていますし、こういった脳死需要配信は需要のパイはそこそこ大きいのかなと思っているので、少なくとも自分は好きだ!という声は上げて何かやってほしいところではあります。OTNに続く、ラジオ的でもない、ライバーたちがただただしゃべるだけの配信があまり取られないというのもこの辺が理由なのかなぁという気がしていますが、どうなのでしょうかね。最近でもくれっしぇんどがただただしゃべるだけのやつありましたが、私はニヤニヤしながら聞いていて大好きです。
【cresc.】だらりと話す人たち【にじさんじ/ドーラ シスター・クレア 緑仙】
一方で最近は緑仙であれば、3D企画でシリーズ化していますし、グウェルさんなんかも同じよ企画でも呼ぶライバーを変えることで、違った面白さを作り出して、にじさんじライバーさんのタレントの豊富さを生かしていたりしています。公式でもレバガチャや、にじクイ、にじバラなど、安定して繰り返し見ても面白いコンテンツも提供し始めているので、ぜひとも今回みたいな予想外の物語と、タレントの豊富さを活かした安定した面白さの2面を提供してほしいです。ただパシフィックリリム2に関しては、凸待ちに来る人を変えるだけでも無限に楽しめるような気がするので、いつか2を見てみたい気持ちはあります。
にじさんじがどんな物語を見せてくれるのか、これからも楽しみにしています。