ゆるりわんわんお

2019年以降は主ににじさんじのおすすめ配信を記録しています。

にじARK ISLAND編の物語としての面白さ

サマータイムレコード /じん (covered by AXF)

サマータイムレコード /じん (covered by AXF)
にじARK Evolvedが始まったので、去年のISLAND編の戦国ARKに関して、物語としてどのような面白さがあったのか、ということを改めて考えてみます。物語の表現方法としてYouTubeVTuberの特性を生かしたものとなっていたと考えています。その面白さの要素を、①台本のない舞台、②多視点の群像劇、③超圧縮された物語、にわけて整理しました。これはアズキアライアカデミアのLDさんがVTuberについてまとめた要素を私なりに解釈して、にじさんじARKに当てはめて考えています。

Academia/にじさんじの登録者数推移動画評+面白さの最小単位など 2019/05/31

Academia/にじさんじの登録者数推移動画評+面白さの最小単位など 2019/05/31
 にじさんじARK自体がどういうことが行われていたのかは、下記のまとめ切り抜きや、記事、非公式Wikiなどを参照してください。まとめ切り抜きのほうは丁寧な編集で、アニメ2クール分ぐらいの文量なのでとても見やすいです(?)
www.youtube.com
wikiwiki.jp
www.moguravr.com

①台本のない舞台、リアルタイムで進行する不作為の物語

この要素に関しては最近私がまとめ記事をたくさん出していますが、「物語」としては戦国ARKが一番わかりやすいのではないかと思います。イクラやARKの面白さは、何が起こるかわからない、ワクワク感が得られることにあると思っています。古くではSEEDsマイクラや、でびリオンなんかは本当に奇跡的な物語を提供してくれました。決まった目標がないので、各々が好き勝手に物語を紡ぎ、結果的にこの戦国ARKのようにひとつの大きな物語になったりします。さらにこのARKは各々が自分の舞台上の役割を各々演じており、より物語要素が強いものでした。「台本のない舞台」とは確かハジキが似たようなセリフをいっていたはずですが、各々が自分の描いた役割をもとに手探りで物語を進めていました。四皇として君臨するひまちゃん、ハジキ、叶くん、夜見さん、その夜見さんを参謀として支える緑仙、その勢力図に反抗するヴィラン集団のαスレイヤーズ、「四皇」の座を狙い、主人公になりにいく葛葉くんとぷてちといったようにそれぞれが物語の登場人物を演じていました。さらに葛葉くんとぷてちのAXFは、第二部からの参戦で、どんどん仲間を集めてひとつの家族になっていく、というのは展開としてあまりにも王道であり熱かったです。冒頭に貼ったサマータイムレコードはMVでこの物語をぎゅっと圧縮したものになっています。第一部はαUNION、第二部はAXFがメインの舞台でした。これらが台本もなしに、先の展開がどうなるかわからないワクワク感をリアルタイムで味わえたのは本当に面白かったです。
 この不作為の物語は、下記のパシフィックリリムの記事でも触れていて、にじさんじの面白さのひとつだと思うので、パシフィックリリムと合わせてそちらを見ていただければと思います。マジでパシフィックリリムは面白かったのでおすすめです。
tatami571.hatenablog.com

②多視点の群像劇、ひとりひとりの物語を同時に楽しめる

これはYouTube生配信独特の表現方法のひとつだと思いますが、個々の配信枠があるので、それぞれの視点がリアルタイムで同時に見ることができます。戦国ARKでは戦争に参加しているのところだけでも最終的には3勢力あり、多窓しながら見ていた人は多かったんじゃないでしょうか。同時にいろんな物語が進行するのを味わえるのはめちゃくちゃ楽しかったです。第一部であれば、水問題からまさかの友達欲しい系の物語に着地したイブくん、ヨルミナティでも、先頭に立つことが苦手だった夜見さんと、夜見さんと一緒に遊びたかった緑仙がそれを支える物語がありました。イブくんの友達欲しい系の物語はレスターさんが下記でまとめていらっしゃいますのでぜひ御覧ください。
earlofleicester.hatenablog.com
第二部では主人公に成りたい葛葉くんとひまちゃんと並び立ち超えたいぷてち、同期のぷてちを支えるためにヨルミナティを離れてきたあみゃみゃ、ゲームが苦手にも関わらず参加して裏方として支え、最後は涙を流したメリーさんなど、数多くの物語が繰り広げられました。
 どちらが面白い面白くないということではなくて、質が違う、という話なんですが、このような群像劇を既存の媒体、例えば漫画でやろうとするとかなりコストが掛かりますし、速度も遅くなります。漫画やアニメで群像劇を同時展開しようとすると、同時にやろうとしたらできなくはないですが、クリエーターさんの負担が半端なく、それに比べるとこの群像劇はかなりの低コストというか必然的に群像劇の形態になります。いやまあライバーさんたちはめちゃくちゃ楽しみつつも、心身ともに削っていたんですが。群像劇は先にも書きましたが、いろいろな物語が楽しめたり、同じ時間軸でも裏でいろんなことが起こっていることが楽しめます。マルチプレイですと、ライバーさんたちのコラボだったり、偶然の出会いが生まれるため、先に書いた不作為の物語も必然的に生まれやすい構造になります。リスナーの中には偶然の出会いからのコラボを楽しみにしていた人は多いんじゃないでしょうか。そういったところでこのYouTube生配信を使ったVTuberのゲームマルチプレイによる群像劇は物語の表現方法としてめちゃくちゃ強みだと思います。
 

③超圧縮された物語 超濃密な1ヶ月間

そもそもとしてVTuberというコンテンツ自体が時の流れが早く、目まぐるしく流行りが変わっていきます。私的にはやることが定期的に入れ替わると飽きずに見ることができるので、そのへんも好きなポイントのひとつです。そしてこのARK ISLAND編に関しては、サーバー開設が20年2月4日、シェリンさん誘拐事件が3月6日、第一次戦争が3月23日、第二次戦争が4月6日でした。ことの発端となった事件から2回の戦争が終結するまで約1ヶ月間というめちゃくちゃ短い期間で行われました。先ほどいったように丁寧な切り取り編集でアニメ約2クール分ぐらいの文量がある物語が、1ヶ月間に詰め込まれた形になります。というか一人あたりの配信時間としてはもっとトンデモナイことになっているわけですが。この量が1ヶ月に詰め込まれてたことで、やっているライバーもめちゃくちゃ必死でしたし、リスナーたちも飽きずにかじりついて見ることが出来たのかなと思います。
 特に第一次から第二次までの間は2週間しかなく、ライバーさんたちは夜通し戦争の準備をしていて、その様子は文化祭そのものでした。この間のフェスもコンセプト通りの文化祭な感じがありましたが、このARKは準備期間を含めてリスナーと共有しており、リスナー自体も準備から文化祭の追体験をできるコンテンツでした。1週間前に缶詰するって本当に文化祭そのものですよね。
 また「四皇」などの既存の漫画のネタが使われることで勢力図や、やっていること非常に理解しやすい構造ともなっています。リスナーはアニメや漫画を通っている人が多いので、こういったフォーマットを肌感覚で理解できるからこそ、この超高速で展開される物語を楽しめている側面はあるのかなと思っています。
 このあたりの速度論はLDさんが物語における「面白さの最小単位」というお話をしているのですが、私自身がまだ整理しきれていないので、そのへんは考えていければいいのかなと思います。
petronius.hatenablog.com


このようににじさんじARK、特にISLAND編は物語としてYouTubeVTuberの良さが存分に出たものだったと思います。あえて欠点を言ってしまうと、長所の裏返しなのですが、この戦争という状態は再現性が難しいのと、ライバーさんの負荷が高いことがあるかと思います。あの戦争の流れは自然発生だからこそ面白いものでもあるので、じゃあもう一度あれをやろう、といっても同じような面白さになるかはわからないところがあります。ライバーさんの負荷が高いのは、楽しんでいたゆえであるんですが。
 しかしながら今回、Evolvedでは全時間サーバー・PvP解禁となり、かなりカオスな状況になりそうなので楽しみなところがあります。すでに解禁3日目とかで初参戦の蛮族舞元さんがアンジュさんと諍いを起こしていたり、戦争に憧れた晴くんが長時間やっていたりと、予想外の物語が展開されており、めちゃくちゃ面白いです。前回のような戦争になるかはわかりませんが、今後のにじARKが楽しみです。

【舞元参戦】にじARKまとめ #1

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