ゆるりわんわんお

2019年以降は主ににじさんじのおすすめ配信を記録しています。

冴えない彼女の育てかた12巻 彼女と彼女の話。

感想を書いている最中に、二転三転してきて、うほほほーってなってます。
最終的な要約としては、
・この巻のお話は彼女と彼女がメインであり、表紙がすべて。
・ミクロの描写不足は否めないかなぁとも思う。
・GS3とでワンセットで12巻が収まるかな

以下、ネタバレが爆発するので、格納します。


パートナーとしての姿はどこへ。

初回、というかまだ2回めもまともに読んでいないのですが、
一番最初の感想としては、恵をひどい形で裏切ったのに、あっさり倫也の元へ戻ってきた展開に納得いかなかったんですよね。
あまりにも倫也に対して都合のよいヒロインではないだろうか、と。
いやだってさ、ほんとの初デートをしょうがないとはいえドダキャンした上に、
自分のサークルをほったらかしにして、詩羽先輩と英梨々の元へ行くんですよ。
この展開、codeや…なんて思った人がかなりの割合でいるんじゃないでしょうか。
それなのに1巻の半分ぐらいの展開で、ひどい裏切りがあったにも関わらず、恵は倫也の元へ戻ってきた。
いくら熱いラブレターを送っていたとはいえ。
これでは恵があまりにも倫也にとって都合のいい女の子に成り下がっているんじゃないかなぁ、と。


私個人としては、この作品のポイントって、通常であればメインヒロイン格となる、
詩羽先輩と英梨々を選ばすに、なぜ恵を創作のパートナーとして選んだか、というところだと思うのですよね。
そしてそれの重要な要素として、「対等性」というものがあったはずなんです。
英梨々は、当初は庇護の対象から脱することはできず、お互いが甘えてしまう立場になってしまう。
それは覚醒してからも一緒で、結局彼女自身がヒロインであることよりもクリエーターであることを選んだ。
詩羽先輩は、当初から羨望の的で、結局彼女は強くて、一人でも創作ができてしまう。
それでは創作のパートナーとして、倫也は選ぶことが出来ない。
ということが9巻、10巻の流れだったわけです。
この二人は、ラブコメのヒロインであることよりも何よりも、まず自分のアイデンティティ、クリエーターであることを選んだわけです。
作中で、登場人物がメタ的にヒロインであることを放棄している、っていう展開は考えてみるとほんと凄まじい流れだなぁって思います。
そしてだからこそ、通常の作品であればヒロインになりえた彼女たちではなく、
唯一、倫也と対等になれる恵がメインヒロインとなったわけです。
彼女は倫也を叱ってあげることができる、間違っていたら違うとはっきりと言うことができる立場なわけです。
だからこそ、この倫也にとって都合が良すぎる展開というのは物語の根幹を揺るがしかねないのでは?と思ってしまったわけです。

恵が戻ってきた理由と12巻のメインテーマ

と、ずばばばーっと怒涛の展開の12巻を読んでいたら、上のことに頭が行ってしまって、そこまで読み込めなかったんですが、
恵が戻ってきた理由自体は、倫也視点でも明記されているんですよね。

「まだ、許してないからね?」
「許されたって思ってないから」
だって、恵が戻ってきてくれたのは、俺のためじゃなかった。
ただ、英梨々や詩羽先輩と、もう一度、一緒に頑張りたかっただけで。
中名乗りしたのだって、俺とじゃなくて、あの一人とで。
俺の努力じゃなくて、女の子同士の友情で問題を解決しただけで。
丸戸史明著 冴えない彼女の育てかた12巻より

だから正確には12巻の段階ではまだ戻ってきたわけではなかったんですよね。
そもそも恵が真に願っていることはゲームを完成させるという以上に、
英梨々と詩羽先輩のいる中でサークル活動をしたい、ということだと思うんですよね。
これについてのソースはあとで拾ってきます。
ただ9,10巻で倫也は二人とは完全に決別してしまった。
それだからこその今回の12巻の、ある種超展開とも取れる展開によって、彼女らをサークルに戻す大義名分が出来たわけです。
この「転」がないと、英梨々と詩羽は部外者のまま物語が終わってしまいますからね。


そしてそれだからこその、12巻の表紙なわけですよ。
恵と英梨々が、ほんとの仲直りをしているシーン。
作中でも述べられていますが、彼らの作るゲームの中で足りなかったシーンが展開されているわけですよ。
つまり12巻は7巻の終わりから長々と続いた、恵と英梨々の、真の仲直りがメインテーマだったわけですね。
いやあ、ラノベという媒体を活かしきった素晴らしすぎる表紙です。


とは言え、作中の章タイトルにもあるように、恵サイドの描写について完全に不足していることは間違いないですよね。
マクロ的な構造としては、上に述べている通りですが、
やっぱり倫也の裏切りの度合いに対して、恵が倫也の前に戻ってくるのは、この巻だけではミクロな部分がさっぱり欠けていますからね。
まあこのへんが不足しているのは、ひとつはあとがきにも合ったように、倫也を中心に据えているためでしょうからね。
あとは大人の事情でしょう、笑


というところで、12巻はGS3とワンセットで完結ということだと思うので、
ちょっとモヤモヤが残ったままになりますが、4ヶ月後を楽しみに待ちましょう。
商業的に6月には出ると思いますよ!笑
そして倫也と恵の、真の仲直りとメインヒロインになるものが、13巻ですね。
マクロ構造に気がつくまで、これで終わるのかっ、とモヤモヤしていましたが、
今は待ち遠しいですねー。
終わり方としてはかなりきれいになるのではないでしょうか。
とても寂しいですが、私はきれいに終わってくれることが一番だと思っていますので、楽しみにです。


余談

出海ちゃんと美智瑠

いやあ、11巻でもSKIPされましたが、12巻でもひどい扱いでしたね。
美智瑠とかすげーキャラに似合わず縁の下の力持ちやっていたのに。
まああれです、サブヒロイン枠から脱することはできなかったのです。
彼女らまでヒロインとして昇格してしまうと、物語として長過ぎる感じがありますからね…
それにしても出海ちゃんとか13巻で英梨々が戻ってくるとなると不憫すぎる気がしますが。

超展開?

紅坂朱音が倒れる、というのはかなり超展開な感じでしたが、ええっとフラグが結構立っているらしいので、ちきんと既刊を読み直そうと思います。
丸戸さんはかなりロジック的に物語を組み立てるタイプの方なはずなので、必ずあるはずなんですよね。
クンフーが足りないなぁ。

描写不足と大人の事情と完結と

今回の描写不足については、当初の僕のように???となった人も多い気がします。
これについての賛否は難しいところですよね。
大人の事情として、アニメが始まる前に何が何でも出さなければならない、ということがまずあったはずですし。
また恵視点まで入れてしまうと、かなり複雑怪奇な構成になると思いますよね。
それを短期間で、その複雑怪奇な構成にするよりはもうGSと分けちゃおう、という判断だったのかなーと。
まーそれにしてもミクロ描写が不足しすぎてて、ぱっとマクロが読み取れない、っていうのはちょっと悪手な気がしましたが。
12巻BoysSide、とでも名が打てれば一番良かったのかもしれませんが、笑