ウィザーズ・ブレインⅧ 落日の都<下> ネタバレ雑感
ウィザーズ・ブレイン (8) 落日の都 (下) (電撃文庫) (2014/02/08) 三枝零一 商品詳細を見る |
待ちに待ったウィザーズ・ブレインの最新刊です。
まさかの中から3年待たされるということですが、ようやく発売しました。
ほんともう発売されないんじゃないか、とビクビクしていましたが、
無事に発刊されてほんとファンとしては嬉しい限りです。
この作品については、僕は中学生という一番魂に刻まれる時期に読んだものなので、
冷静に語れるものではないのですが、書かずにはいられないので、記事にする次第であります。
以下まとまらない雑感。
真昼が、真昼が死んだ…
まさか死ぬとは思いもよらず、読んで一日経った今でも動揺しています。
読み終わった直後はしばらく放心状態でした。
ここまで心抉られる展開は久々でした…
無職転生のパウロの死と、リゼロのレムの退場以上の動揺かもしれません。
この展開については、僕がすげーなと思ったのは、
「物語の主人公たち」に感情移入している読者にとっては予想外のことで、、
「物語そのもの」を冷静に見ると、必至の展開だったのか!というところですね。
まず何でこうまでして、僕の心は抉られ、
真昼は死ぬことはないだろうということを思っていたのは、
メタ視点の読者としては、作中の主人公たちに、真昼の思考そのものですよね。
マクロな流れを考えれば、何の政治的利用もなく真昼が死ぬはずがない!、と。
その他、作中の描写も見事というか、少なくとも感情移入しまくりの僕としては、
真昼の思惑が敗北したあとも、
祐一たちが必死に動いているんだから、真昼は助かるだろうと思わせるものでした。
特にチート治癒能力者のファンメイが最終的には帳尻を合わせるんだろうと。
今回もその能力をいかんなく発揮していましたからね。
しかしそうは思っても、どちらに転ぶかはわからないため、震えながら読んでいましたが。
あとは昨今のラノベに慣れている身としては、
主人公たちの思惑がここまで完膚なきまでにたたきつぶされる何て思っていませんでしたよね。
今まで真昼は俺TUEEE展開を繰り広げていたわけですよ。
以上のことから真昼は死なないだ!!!と思っていたわけです。
だからこそ、この仕打ちはもうほんと辛い。
最後のサクラの「これが、恋か」なんてところで僕はもう涙ボロボロでしたよ。
この作品、昨今のラノベの流れを無視していて、基本的にシリアス展開中心で、ラブがコメらないだけに、
真昼とサクラの指輪騒動とかは、数少ないニヤニヤポイントだっただけに、余計ガツンとくるというか
そして読み終わった後に冷静に考えてみると、まず真昼の敗北自体は必至であったんだなぁと。
作中の主人公たちは、出来すぎるが故に、理想に準じ、
世界の崩壊というマクロな流れに囚われすぎていて、ミクロ=民衆のことまで読みきれなかった。
真昼の考えたように、世界の危機に瀕したら、正しい選択をするだろうと。
しかし「民衆」は、カリム首相の言った存在で、そのケアをできなかった真昼たちは敗北したということですよね。
主人公たちは有能な戦略家や技術者たちではあっても政治家ではなかったということでしょうか。
結局月夜が懸念していた通りの展開といえばそれまでで、
真昼の敗北は示唆されていたということになります。
しかしながら感情移入しまくりで読んでいると、
真昼は死なないだろう!と思わせるところがすごいといいますかね。
そして敗北だけではなく、真昼の死というのは、
サクラが後戻りできない、物語を進める構造を取らせるためのことだったのではないでしょうか。
真昼が生き残ったら、魔法士vs人類という構図まで進められませんからね。
そういったことを考えると、真昼の敗北、そして死は必至ということになるのかなと。
散らかっているので、まとめると、
・登場人物の思っていた通り、政治的利用もされずに、まさか真昼が死ぬなんて思わなかったよ!
・さらにここまで完膚なきまでに主人公たちの思惑が崩れるなんて思わなかったよ!
・冷静に考えると、この展開に収束してしまうのか!!
ということですかね(雑
ともかく衝撃的な展開の8巻下でした。
物語は終わりに向かっていよいよ動き出しています。
次はいよいよ物語が錬に収束するようです。
ここまでずっと錬は立場を決めかねていましたからね。
ある意味「民衆」に一番近いのは錬なのかもしれません。
全然予想がつきませんが、最期はパッピーエンドであってほしいと心から願う次第です。