ゆるりわんわんお

2019年以降は主ににじさんじのおすすめ配信を記録しています。

冴えない彼女の育てかた 完結記念雑感

さて、完結から2ヶ月以上経っていますが今さら投稿しますよ。
私がどういうふうに冴えカノが好きかを書いているだけです、笑

ペトロニウスさんの評論以上のことがひねり出せないので、私の好きなところを並べます!
あとご紹介したいののが、C93においてLandScape Plus様が出されていた「Memory of Saekano : How to raise a boring girlfriend」という完結記念合同誌の中で、
小菊菜様が「<ヒロイン>の命題」というコラムが凄かったです。
ヒロインと言う構造を解体したお話で、これがずばり「冴えカノ」を述べれていて凄かったです。
恵がメインヒロインとなる、ビルディングスロマンであり、
記号がないヒロインから、記号を獲得し、攻略不可能であったキャラクタを攻略可能なヒロインへする物語であると。
この「冴えない彼女の育てかた」というタイトルを保つ意味の構造を最も抑えた解釈だな、と個人的にすごく衝撃を受けました。
出会ったころの恵は攻略対象のヒロインではなく、それを攻略対象へと昇華する必要があると。
それを通した物語だったんだなーって。

影響を受けまくった参考文献
d.hatena.ne.jp
Memories of Saekano(LandScape Plus)の通販・購入はメロンブックス | メロンブックス
関西にゃんにゃん交流会/「冴えない結末の祝いかた」

対等なヒロイン

僕が冴えカノを好きな理由は作品を通して対等の関係であることをこだわり、
かつ何の因縁もない、何気ない日常の中で楽しく過ごせる胸がキュンキュンするヒロインを描いたことでした。
まあ圧倒的に恵がかわいいということです、笑


最初に、私は城平京先生原作の「スパイラル」がもうめちゃくちゃ好きで、
人生に結構影響を与えられてしまっている気がします。
その中で特に大好きなのが、歩とひよのを対等に描いていること、都合の良いヒロインとして書かれていないことですよね。
それは最後、握手で別れる場面が象徴しています。
あのあとひよのさんが涙流すのがマジでたまらなく良いです。


そういうわけで私は都合の良いヒロイン、依存の強い関係というのはひどく脆いものに思ってしまうのです。
どちらかが強く望んだら、そちらに引っ張られてしまって片方の意志がなくなってしまうような、自立のしていない関係がとにかく好きじゃない。
お互いが居なくても全然やっていけるんだけれど、それでも二人がいることですごい幸せになれる関係を見てみたいんですよ。


そして冴えカノはヒロインは主人公と対等であること、何気ない日常を楽しく過ごせる特別じゃない存在であることを主題としていると思っています。
丸戸先生は作中でも、BGM論のときに美智瑠に対して倫也を通じて理想のヒロイン像を語らせていますよね。
また恵が倫也を選択した理由にもなっていますね。
この作品はそういった対等な存在のヒロインとして恵を描ききったわけです。

倫也自身がクリエータになってさらにそれが強固なものになってしまった。
彼女らはクリエーターとして偉大すぎて倫也と対等になることができなかった。
詩羽先輩は最初から最後まで、羨望の人だった。
英梨々は庇護の対象から、覚醒後は、詩羽先輩と同じ、羨望の対象となってしまった。
それ故に彼女らは対等になれず、ヒロインには選ばれなかった、ということになりますよね。


であるから恵が唯一倫也が萎縮しない存在になった。
ゲーム作りにおいても倫也をきちんと叱ってあげる感じとか、何気なくフォローしてあげる様とかがとても好きなんですよね。
すごい倫也と対等なパートナーだよなぁって。
その恵との何気ないイチャイチャ描写が大好きなんですよ!!!
♭8話とはでわざわざ夫婦描写追加して最高だったじゃないですか。


あと英梨々が離れた理由でもありますが、クリエーターとして倫也と近すぎると、彼女らは倫也のためにやってしまうのですよね。
また倫也も彼女らが大切すぎて無茶をさせることができなかった。
彼と彼女らはそこ関係を脱することがついぞできなかった。
でも12巻では倫也は恵に対しては2回目の無茶をすることができた。
いや冷静に考えてクソ野郎なんですけど…笑
だからヒロインは恵なんですよね。
まあ性別が男でなければ倫也のヒロインは間違いなく伊織だと思うのですがね!

リエーターとしての幸せ

一方で私的には詩羽先輩と英梨々はラブコメのヒロインとしては破れましたけれど、
そっちのほうが今後の人生において絶対幸せだよねって思います。
いや倫也とくっついても泥沼で何がずぶずぶハマってクリエーターとしても大成しなさそうじゃないですか…
詩羽先輩は英梨々という戦友と、美智瑠というよくわからん、でもよい友人を手に入れることができました。
英梨々も詩羽先輩という戦友と、恵という初めて親友と呼べる存在ができました。
そしてクリエーターとしても成長することができる素晴らしい環境も手に入れました。
どう頑張ってもこっちのほうがいいだろこれ、笑


このへんは丸戸さんのクリエーター論も入っているのかなーって思っています。
14歳とイラストレーターの4巻でも述べられていましたが、
リエーターとして生きていくには普通の生活、普通の友達というものには中々縁がなくなってしまうものだと思うのですよね。
その代わりに戦友は手に入れることができるんですが。
自分のアイデンティティでもあるクリエーターとして生きていく覚悟はあるのか、とヒロインに問いている感じがします。


それをやっているのが10巻ですよね。
ここでは詩羽先輩は自覚的にヒロインの座を手放しています。
都合の良い女にはなれない、と。
この選択はすごく大好きなんですよね。
ヒロイン自身がヒロインの座よりも自分のクリエーターとしての矜持、自分自身のアイデンティティを選んだんですよ。
一度紅坂朱音によってアイデンティティ、倫也にとっての神様であることを破壊されたあげく、
そのアイデンティティを取り戻すのに、ヒロインの座を手放すということを選択させる丸戸先生は究極のドSな気がしますが。
いやマジでアイデンティティが強い人に対してアイデンティティを折りにいくのって殴り方としては最上位だと思うので。
そこできっちり復活する詩羽先輩はとてもかっこよかった。
倫也への依存度が高くなければ間違いなく手放しで好きなキャラです。


なお詩羽先輩はのほうは恵と合わない別世界線の恋メトにおいて、
倫也がプロデューサーとしての道を選択していますので、ここではヒロインになれるチャンスを残していますよね。
プロデューサーならばクリエーターと対等になれるので。
まあ倫也と真由も比較的対等な感じがあるので、すごく相性は抜群だと思うのですが。
こちらに関しては構造的にどちらが選ばれてもおかしくないような、どちらも選ばれなくてもおかしくない気がするので、
非常に丸戸さんらしく楽しみです。
いやまじで2月号はよ。


ちなみに英梨々はどうすればクリエーターとしても、ヒロインとしても幸せになれたんですかね。
小学校の時に間違ってしまったってマジで挽回のしようがないような。
ここも丸戸先生ひどすぎるなーって思いましたけれど、笑
6巻でマスターアップを選択したらなったんでしょうかねー?
その選択肢だとクリエーターとして成功する未来が見えなくてなぁ。
同人で幸せに、って感じでしょうか。


まあともあれ素晴らしいのは、ラブコメのヒロインとして敗れたとしても、
リエーターとしては非常に幸せな道を歩める未来が提示されている、ということだと思うのですよね。
ペトロニウスさんが述べられている、お仕事ものとの相性の良さを出した感じになります。
ヒロインだってヒロインレースに敗れて人生が終わりではないのです。

結びに

とまあツラツラと語りましたが、とにかくこの作品が好きなので、劇場版も待っています。
結論は恵がとにかくかわいい、以上です、笑
あとそれまでのつなぎも当然用意しているんですよね…?

魔法科高校の劣等生23巻 感想 物語の行く末は。

魔法科高校の劣等生(23) 孤立編 (電撃文庫)

魔法科高校の劣等生(23) 孤立編 (電撃文庫)

ついに物語がどどどーっと動いてきて、ちょー面白いっす。
達也のブラコンっぷりあたりのコメディパートも面白く、ラノベとしてとてもよい完成度をほこっているかなと。
今回は達也という英雄譚、人類同士の争いをなくすための収束点など、文脈としてもかなり動いた感じがあります。

達也という世界を滅ぼせる力

これは英雄譚に連なる物語が問いかけている課題ですよね。
人類にとって共通の敵が倒れたとき、勇者はどうするのか、と。
魔法科の世界では共通の敵、魔王的なものは初めからいないですね。
物語でも明確に述べられていて、風間中佐と佐伯少将の会話で触れられています。
また達也自身も八雲に直接述べられています。
というかそもそも深雪が、達也に対するセーフティー装置として生み出されていますからね。
この辺は「勇者のお師匠様」のレティとウィンの関係と同じようなものでしょうか。
そしてここが争いをなくすための収束点と見事に関わっていることに、なるほど、そうなるのか!と個人的にうなりましたね。

達也の思想と、世界(米ソ)の考えと物語の収束点

達也の最終目標は、魔法の非軍事利用により、魔法師を軍事システムのパーツから解放することです。
そのための方策は根本的な争いの原因、エネルギー問題を解決する、ということでした。
そして今回、米ソは「ディオーネープラン」によるテラフォーミングによって、世界総人口の限界問題について国家を超えた解決を図り、
その手段として魔法師を非軍事利用に用いるというものでした。


これは人類同士の争いをなくすためには、どうしたらよいのか、というところに対する収束点でありますよね。
結局のところ、争いが起きる原因というのは限りあるリソースの奪い合いなわけです。
人が生きるために対して必要な食料、それらを作り出す土地、運用する資源・エネルギー。
今回の場合は、テラフォーミング計画により、新たな土地と資源・エネルギーを得るわけです。
そのための解決手段として、魔法師を非軍事的利用にする、というのは達也の目的とも一見合致するように見えます。
ですが達也のプランの欠点としてあげられているのが、魔法師を経済的利用することによって辛うじて保っていた米ソとその他の小国の軍事バランスが崩れる、ということですね。
作中でも述べられているようにこの開発には非常に長いスパンが必要です。
するとその期間中は、完全にリソースの奪い合いを止められるわけでない、ということですね。
ここが達也が意識していなかった盲点であり、個人的になるほどー、って思いましたね。
この辺が難しいところで、単純に未来の開発を志したところで、目の前にある問題を見ていなければ、結局は頓挫してしまうということですね。


私がよく物語を読んでいると忘れがちになるのが、この辺の当事者感覚なんですよね。
どうしてもメタ視点、あるいは主人公サイド視点で物語を見てしまっているので、主人公たちが未来に向かって最良の結果が選択されるのが当然じゃないか、と思ってしまうのですが、
物語、というよりは現実はそうはいかないんですよね。
大衆というのはたいてい、明日のパンを求めて生きているものです。
未来を見れるのはある程度余裕がある人だけですね。
そして政治家というものはその大衆の意志を反映するものなので、彼らも同じところをみる。
しかし結局のところ明日のパンを求めるための選択肢を選ぶと、滅ぶという運命がわかっている。
されど明日のパンを求めなければ今すぐに死んでしまう可能性すらある。
そのときに直面したときに、どういう答えを出すか、ということですかね。
ほんとはこれウィブレがやっているんですが、いかんせん続刊が…
もうそろそろ3年たつから出してくれても良いのですが…


そしてこのこの時点では世界を滅ぼせる装置としての抑止力として動く覚悟を達也が決める記述がありましたが果たして。

深雪の決断

この巻では達也も覚悟を決めていましたが、深雪も決断しましたねー。
すべては達也のために、という。
今までは特に四葉の意向を気にして、なかなか踏ん切りがつきませんでしたが、今回、四葉からの「誓約」を外す、という大きな決断をしました。
もう孤立する達也を見れていられない、という思いがすべてのマクロ的なしがらみを吹き飛ばした形ですね。
すごいのは、作中で述べられていますが、深雪があんなにも願っていた、達也と結ばれるということを放棄する形になることなのかなと。
16巻では歓喜に打ち震えていましたが、それ以上に、達也のことを願う。
この、パートナーの幸せを願う形、いいですよねー。
はたらく魔王さま!でもそうでしたが、結局のところ決断のきっかけは身近な誰かのため、ということはひとつの答えなんでしょうね。
そこに至るまでの決断をいかに描くかが物語の面白さだと思いますが。


なお個人的に気になるのは、達也のパートナー問題ですかね。
マクロ的な立場を放棄したことにより、少なくとも伴侶的な立場は微妙になりましたからね。
といってもパートナーというところは深雪で揺るがない気がしますが、笑

VS十文字先輩

以前のあとがきで、現時点で作中最強と称されていた十文字先輩との対決がありましたねー。
いやまあVS十文字先輩用に開発したバリオンランスのおかげでわりとあっさりでしたが。
16巻で読んだときはバリオンランスがVS十文字先輩になるのかがよくわからなかったのですが、今回はよくわかりましたね。
通常の分解では次から次へとランダムに障壁が展開されるため、分解の対象が特定できないが、
中性子を防ぐバリアはただ一つであり、それならば達也の分解能力で分解できる、という理屈でしたね。
それをFTA理論?でしたっけ、で中性子線を打ち出す技術を実現したと。
ここに来て達也の、力的なTUEEE感が増してますね。
逆にメンタルが女性に揺さぶられているのが面白いですね、笑

ラスボスと物語の決着と。

最終的な物語の決着はどこに向かうのでしょうかね。
孤立編からエスケープ編へと続き、反撃となるのでしょうか。
立場としては地球にとどまり、世界の抑止力となることなんでしょうかねー。
じゃあそれを一体誰が制御するの?という問題があるわけですが。

そしてあとがきではラスボス、と言われていますが、レイモンドとあとは光宣あたりでしょうかね。
この二人は手を組みそうな気がしますが。
あと周公瑾は退場していない気もするので、このへんがあとどう絡んでくるかですかね。
父親のほうが前座ですっ飛ばされそうな予感があります、笑

魔法科高校の意味、そしてリーナの選択は。

わかっていた展開ではありますが、中盤のレオの達也に対する擁護、そしてラストの集結シーンはこれまでの積み重ねがついに実った!というシーンで目頭が熱くなりましたね。
あくまでも学園モノ、というジャンルである以上、やはりこの展開はすごく必要で、良いものですよね。
学生時代の友人というのは、生活に関わる大きな利害関係の絡まないものなので、こうして孤立していく中でも助けになれるということですよね。
ちなみに最後まで達也のことを慮っていた真由美さんは七草のほうにやはり行ってしまいそうなので、個人的にはとても悲しい…
真由美さん、マクロを乗り越えてくれ!


そしてメンタル的にはポンコツ、というよりは歳相応だけれど、実力は作中最強クラスのリーナがどういう選択をするのか、というのも大きいですよね。
これも達也が積み重ねてきた関係のひとつで、ここがどう転ぶか。
まあリーナは達也サイドに転びそうな感じがしますが、笑
戦記ものではマクロな立場に遵守して、己の心を殺す、ということは少なくありませんが、リーナの場合、そこまでマクロな立場を遵守する理由もない気がしますからね。
ただその場合は世界(米ソ)を敵に回すわけですが…
果たしてリーナは合流して、その立場を築くことができるのでしょうか。

その他

物語の整合性をとるために女装で登場した文弥くんですが、そのときの達也がかっこよすぎて、これアーッ!展開を想像させるに十分な材料なのではないかと思ってしまいました。
今回で少なくとも1vs1の戦闘では、作中最強だった十文字先輩越えましたから、説得力がありすぎますし。
あとその後の深雪の干渉力の強さも半端なかったですねー。
達也と深雪コンビだったらほんとに割とあっさり世界を滅ぼせそう。


あとメイド根性丸出しの水波ちゃん、いいキャラしてますよねー。
達也ですら顔を伺うという…笑
というか、わりと達也は周りの女性に対して弱い気がしますが。


今回、挿絵がすごくよかったです。
深雪の泣き顔、テレ顔、級友の姿など、タイミングもバッチリでしたねー。